専用ソフトウエアSmartDIYs Creatorでは主に3つのパラメーター調整によって加工を制御します。パラメーターの設定は加工対象物の種類や密度、色や物質の配合率や硬度、対象物が合板であれば木材の種類や使用されている接着剤など様々な条件によって大きく変化します。各機種の性能を最大限に発揮するとともに効率的に加工を行うためにとても大切な数値となります。
スピード(ヘッドの移動速度)
ヘッドの移動速度を設定する数値で50~8000までの間で設定ができます(EtcherLaserProの場合は50〜20000)。下記図のようにヘッドの移動速度が遅くなるほど加工対象物に対してレーザーを照射している時間が長くなるため実質レーザーパワーは強くなります。しかし加工対象物が熱を持ちやすくなるため素材によっては焦げや溶けが発生しやすくなります。逆に早くした場合、焦げや溶けを抑えることはできますが、パワーが下がるため複数回の加工が必要となります。
パワー(レーザー出力)
光源から照射されるレーザー光のパワーを設定する数値で0~100%で設定が可能です。組立や使用状況にもよりますが10%以上から安定した照射が得られます。素材にもよりますがパラメーターの適正値を探す際、FABOOL Laser Miniの場合は100%から試しても良いかもしれませんが、CO2、DSにおいては出力が高いため50~70%くらいから探り始めるのが良いでしょう。またこの数値は前項の「レーザーの照射時間」と密接にかかわるため「スピード」との兼ね合いも考慮して設定する必要があります
回数(加工回数)
同じ加工を何回行うかを設定する数値です。0~30回まで設定することが可能で主に切断を行う際に設定が必要な項目になります。単純にこの数値を上げて何度か加工行うことによって1回の加工では切断できない素材が切れるようになったりもしますが、加工対象物が熱を持ちやすいため焦げや溶けにつながります。この数値も「スピード」と「パワー」の数値がかかわるため、加工結果とそれらの数値を照らし合わせて最善の回数を設定する必要があります。
実際の設定例
では実際にパラメーターの設定を見てきます。下記画像は切断をおこなった加工結果です。Aの設定においてはレーザーが素材の裏側に達しておらず切断に至っていません。この結果からBでは移動速度を下げ、出力を上げています。しかしこれもAと同様、切断には至っていません。しかし加工によって描かれた切断線が太くなっていることがわかります。
この結果を受けてさらに切断を目指してCの設定にて加工したところ裏面を見てもわかる通り切断は達成できました。しかし消失部分(焦げ)が増えBよりも線の幅が広がりました。Dでは消失量を抑えるため移動速度を上げ、その分加工回数を増やしましたがあまり変化は無く付着したヤニの量が増えました。このように何度か試行を繰り返し、ヤニの量や切断線の太さ、加工時間などを考慮しながらG~Jで値をを探ります。
何度か繰り返しながら上記画像のK、Lくらいの結果が良さそうなのでさらにM、NではK、L周辺の値をさらに細かく探りました。このようにして各加工素材ごとに適切な値を見つけます。パラメータの設定において大切なポイントは加工時間や仕上がり、ヤニの影響などを含め何を最優先するのかを決めること、また求める加工結果に対して必要以上に加工を行わないことが大切になります。
※パラメーターは素材や装置の組み立て精度、パーツの消耗状態によって異なりますのでご注意ください
その他のパラメーター
インポートしたデータの形式によって、上記パラメーター以外にも操作できるパラメーターがあります。詳しくはsmartDIYs Creator マニュアルのパラメータ設定をご覧ください。